断熱と耐震の話3 地震地域係数
断熱と耐震の話3、今回は耐震の話で地震力を求める場合の地震地域係数についての話。
8月8日に日向灘を震源とする宮崎県南部で最大震度6弱の地震が発生し気象庁は南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を出した。
熊本でも震度4の揺れを感じた。
建物の構造設計をする際、地震力を求める計算式の中に地震地域係数と言うものがある。(仕様規定による構造設計には無い)
今回は地震地域係数について話します。
許容応力度計算の地震力を求める計算式
地震力 QEi=Ci×Wi×β
QEi:地震力 Ci:地震層せん断力係数 Wi i階が支える重量 β:地震力割増 β は耐震等級3は1.5 耐震等級2は1.35
地震層せん断力係数 Ci=Z×Rt×Ai×Co
Z:地震地域係数(1.0~0.7)地域による地震の活動状況を指標化したも
Rt:建築物の振動特性を表す数値
Ai:建築物の振動特性に応じて地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数
Co:標準せん断力係数 0.2
地震地域係数Zは建築基準法施行令第88条第1項に
「その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて
1.0 から 0.7 までの範囲内において国土交通大臣が定める数値」とされ、
昭和55年建設省告示第1793号 第一 Zの数値 1.0~0.7と規定されています。
拡大できます ↓

地震を過去の記録等から起こりやすいところを1.0とし、起こりにくいところは0.9~0.7、なので地震力を1割から3割差し引く係数となる。
つまり地震の起こりやすさ(確率)によって地震力を差し引くことになる。
熊本の場合、地震地域係数は0.9、宮崎も地震地域係数は0.9。今年1月に起きた能登地方の一部も0.9。
0.9と言うことは、過去の記録等から行くと地震が起きにくいと判断され熊本も宮崎も能登地方の一部も
地震力を1割差し引いて計算してよいことになる。
しかし、実際熊本や能登地方も大地震が起きたわけです。
地震力を求める場合地震力を1割差し引くと言うとこう言うことになります。
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級3の地震力割増β1.5とした場合
層せん断力係数Ci=Z 1.0×Rt 1.0×Ai 1.0×Co 0.2=0.2
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.5=54KN 耐震等級3の地震力
地震地域係数Zを0.9とした場合
層せん断力係数Ci=Z 0.9×Rt 1.0×Ai 1.0×Co 0.2=0.18
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.18×Wi 180KN×β1.5=48.6KN 耐震等級3の地震力になるのかと言う疑問が起こる?
48.6÷180÷0.2=1.35倍 耐震等級3で計算したのに地震地域係数を0.9で計算すると地震力が1.5倍にならず1.35倍にしかならない
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級2の地震力割増β1.35とした場合
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.35=48.6KN 耐震等級2の地震力
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級1の地震力割増β1.0とした場合
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.0=36KN 耐震等級1の地震力
耐震等級2の地震力 48.6KN ÷ 耐震等級1の地震力 36KN = 1.35倍
つまり地震力を耐震等級3で設計する場合、地震地域係数を熊本の場合0.9なのでそのまま0.9で計算してしまうと地震力を1割差し引いて計算することになるので耐震等級3で設計しても地震力が1.5倍にならず1.35倍の耐震等級2の地震力になってしまう。
地震地域係数と言うのは過去の地震の記録等(確率)から決められている係数なので今後大きな地震がまた来ると考え
設計者判断で地震地域係数は0.9ではなく1.0で計算した方が安全な設計ができると言えます。
耐震等級3で設計してあると言われても安心はできず設計の内容が重要で
住宅性能表示の計算法による耐震等級3なのか、許容応力度計算による耐震等級3なのか。
例えば、住宅性能表示の計算法によれば耐震等級3ですが、許容応力度計算では耐震等級2にしかならないケースもあります。
地震地域係数を0.9で計算してあり存在壁量が地震地域係数1.0で計算した必要壁量に足りていなければ本当に耐震等級3と言えるのか疑問になるケースもあります
地震地域係数というものは昭和55年今から44年前に規定されたもので南海トラフ大地震が起こる可能性が大きくなった現在や、熊本では日奈久断層帯による大地震が起こる可能性がある状況では現状に合った基準とは言えません。
建築基準法は最低の基準であり鵜呑みすると落とし穴に落ち込むことになります。
要は本当に安全な建物を設計するためには、設計者が常に工夫して設計しなければならないと言うことです。
8月8日に日向灘を震源とする宮崎県南部で最大震度6弱の地震が発生し気象庁は南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を出した。
熊本でも震度4の揺れを感じた。
建物の構造設計をする際、地震力を求める計算式の中に地震地域係数と言うものがある。(仕様規定による構造設計には無い)
今回は地震地域係数について話します。
許容応力度計算の地震力を求める計算式
地震力 QEi=Ci×Wi×β
QEi:地震力 Ci:地震層せん断力係数 Wi i階が支える重量 β:地震力割増 β は耐震等級3は1.5 耐震等級2は1.35
地震層せん断力係数 Ci=Z×Rt×Ai×Co
Z:地震地域係数(1.0~0.7)地域による地震の活動状況を指標化したも
Rt:建築物の振動特性を表す数値
Ai:建築物の振動特性に応じて地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数
Co:標準せん断力係数 0.2
地震地域係数Zは建築基準法施行令第88条第1項に
「その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて
1.0 から 0.7 までの範囲内において国土交通大臣が定める数値」とされ、
昭和55年建設省告示第1793号 第一 Zの数値 1.0~0.7と規定されています。
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地震を過去の記録等から起こりやすいところを1.0とし、起こりにくいところは0.9~0.7、なので地震力を1割から3割差し引く係数となる。
つまり地震の起こりやすさ(確率)によって地震力を差し引くことになる。
熊本の場合、地震地域係数は0.9、宮崎も地震地域係数は0.9。今年1月に起きた能登地方の一部も0.9。
0.9と言うことは、過去の記録等から行くと地震が起きにくいと判断され熊本も宮崎も能登地方の一部も
地震力を1割差し引いて計算してよいことになる。
しかし、実際熊本や能登地方も大地震が起きたわけです。
地震力を求める場合地震力を1割差し引くと言うとこう言うことになります。
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級3の地震力割増β1.5とした場合
層せん断力係数Ci=Z 1.0×Rt 1.0×Ai 1.0×Co 0.2=0.2
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.5=54KN 耐震等級3の地震力
地震地域係数Zを0.9とした場合
層せん断力係数Ci=Z 0.9×Rt 1.0×Ai 1.0×Co 0.2=0.18
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.18×Wi 180KN×β1.5=48.6KN 耐震等級3の地震力になるのかと言う疑問が起こる?
48.6÷180÷0.2=1.35倍 耐震等級3で計算したのに地震地域係数を0.9で計算すると地震力が1.5倍にならず1.35倍にしかならない
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級2の地震力割増β1.35とした場合
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.35=48.6KN 耐震等級2の地震力
地震地域係数Zを1.0、2階建ての1階の支持荷重Wiを180KN、耐震等級1の地震力割増β1.0とした場合
地震力QEi=Ci層せん断力係数0.2×Wi 180KN×β1.0=36KN 耐震等級1の地震力
耐震等級2の地震力 48.6KN ÷ 耐震等級1の地震力 36KN = 1.35倍
つまり地震力を耐震等級3で設計する場合、地震地域係数を熊本の場合0.9なのでそのまま0.9で計算してしまうと地震力を1割差し引いて計算することになるので耐震等級3で設計しても地震力が1.5倍にならず1.35倍の耐震等級2の地震力になってしまう。
地震地域係数と言うのは過去の地震の記録等(確率)から決められている係数なので今後大きな地震がまた来ると考え
設計者判断で地震地域係数は0.9ではなく1.0で計算した方が安全な設計ができると言えます。
耐震等級3で設計してあると言われても安心はできず設計の内容が重要で
住宅性能表示の計算法による耐震等級3なのか、許容応力度計算による耐震等級3なのか。
例えば、住宅性能表示の計算法によれば耐震等級3ですが、許容応力度計算では耐震等級2にしかならないケースもあります。
地震地域係数を0.9で計算してあり存在壁量が地震地域係数1.0で計算した必要壁量に足りていなければ本当に耐震等級3と言えるのか疑問になるケースもあります
地震地域係数というものは昭和55年今から44年前に規定されたもので南海トラフ大地震が起こる可能性が大きくなった現在や、熊本では日奈久断層帯による大地震が起こる可能性がある状況では現状に合った基準とは言えません。
建築基準法は最低の基準であり鵜呑みすると落とし穴に落ち込むことになります。
要は本当に安全な建物を設計するためには、設計者が常に工夫して設計しなければならないと言うことです。
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